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有識者ヒアリング情報

当フォーラムでは、有識者の皆様への取材を通じて、ESGコミュニケーションの促進を図って参ります。また識者からの投稿、外部からの有益なESG情報の提供についても、随時、当プラットフォーム上にて、公開をして参ります。この機会に当フォーラムとコラボレーションを希望される場合は、事務局までお問い合わせお願い致します。

有識者ヒアリング情報 vol.1

2011.3.1公開

今回はESGリサーチ・格付け機関である、ECPIインターナショナルのサルディ社長にお話をうかがいました。

Q1. 日本の投資家のESGに対する意識に関してどう考えているか、また日本市場への期待は?

サステナブル投資の世界は極めて複雑で多面性を持っております。投資家達は異なった信条、宗教、文化そして経済、企業経営哲学のもとで従事しています。理解しなければならない事は、企業の財務諸表に反映されない出来事はその企業の将来に重大な影響を及ぼすということであります。環境、社会そしてガバナンス(ESG)問題はそれらの代理変数になります、そして我々はESGを考慮に入れる事は重要なリスク回避と長期の投資パフォーマンスに貢献すると信じております。

日本の投資家達は伝統的に90年代に登場したSRIファンドのようなテーマ型の投資を行なってきました、そして彼らの多くがいまだにESGを一つのアセットクラスであると認識しているようであります。しかしながら、従来の投資プロセスにESG要因を統合することで付加価値を生み出したアセットマネージャーや年金基金によってその重要性が認識されてきているのも事実であります。

アジアにおいては、中国が日本よりもやや進んでいると言えるでしょう、と申しますのも、上海と深圳取引所において中国株サステナビリティ・インデクスを昨年ローンチさせたからであります。オーストラリアのスーパーアニュエイションファンドもすべてのポートフォリオのアセットクラスにおいてESG情報を統合することにおいて先導役を担っております。

Q2. ESGの視点から企業を評価する際に障害となるもの、重要なことは何か?

ESG分析においては2つの主要なポイントがあると考えております。情報の入手可能性と異なった環境下でも適用できる効率的なリサーチフレームワークであります。分析にとってもっとも共通した問題の一つは詳細で満足のいく情報とニュースを入手する事であります。

我々は公に入手可能な情報をベースに複雑なマルチファクター評価モデルを提供することでこの問題を克服しようと試みております。すべての企業において均質な情報を入手するということは簡単な事ではありません、なぜなら、個々の企業の開示レベルはその企業の属する国の法制度のフレームワークによって異なるからであります。我々は個々の地域の状況に適合できる柔軟性をもったモデルを開発しております、そしてローカルリサーチスタッフの充実も図っております。

Q3. 「連合」が発表した「ワーカーズキャピタル責任投資ガイドライン」をどう考えるか?

伝統的に労働者は自分たちの掛け金がどのように投資されているかというには無関心でありました。しかし近年、「ワーカーズ・キャピタル(労働者の資本)」がどのように投資され、潜在的な利益相反を防いでいるかということに関しての関心が高まりつつあります。

例えば、企業Aの年金基金は労働者を虐待する、あるいは短期的視野のみで労働者を大量解雇する企業Bの株式には投資したくはないでしょう。企業において従業員は最大の利害関係者(ステークホルダー)の一つであります、そして企業の報酬制度からより良い労働環境の整備といった労働問題に対する取り組み方は企業業績の推移と投資家からの評価において重要な影響を及ぼす問題となります。年金基金は伝統的に長期投資家であります、その事は、労働者の満足度といったような無形資産価値に基づいた長期的な企業価値向上に貢献するESGを投資に取り入れるということと適合するのではないでしょうか。

Q4. 企業の開示とESGの現状に関してのコメントは?

企業の開示レベルは年々向上してきております、それは近年劇的に増加してきたサステナビリティレポートの数でも理解できます。最近では、アナリストの仕事は単純な財務分析だけでなく無形価値分析にも重点がおかれるようになってきております。

Q5. 発行体である企業サイドの認識に関してコメントは?

新しい指標やリサーチでは財務指標やリスクだけでなく、レピュテーショナルリスクといった事項まで考慮に入れられております。その結果、企業はますますESG要因に関して注意をはらうようになってきております。さらに、ますます「無形価値」に関しての重要性を重視し始めております。CO2排出のインパクトとそれが企業のP/Lに直接与えるインパクトに関して考え始めているのであります。

Q6. ESGに関して、企業と投資家の間に認識ギャップはありますか?

投資家の要求が企業からのさらなる開示を引き出します。その結果、ESG要因は長期的パフォーマンスを引き出すという事に注視している投資家と同様に、企業もESG要因を遵守した存在であろうと努めることに関心を高めるのであると考えております、そうなる事で安定した株主構成が築けることになるでしょう。今後、更なるアセットがESG要因をベースに投資されることは間違いないと考えております。

Q7. ECPI社の業務について教えてください

ECPIは、銀行、機関投資家およびアセットマネージャーがその投資プロセスにESG(環境・社会・ガバナンス)に関する要素を「統合」できるように、格付け・指標・アドバイスサービスを提供しています。当社は1997年より、無形価値/非伝統的リスク要素の調査、すなわち環境・社会・ガバナンス(ESG)と主流である定量的金融分析との統合を積極的に行ってきました。ECPIは、ミラノのボッコーニ大学およびビジネススクールの教授と金融分野における経験豊かな専門家たちのチームにより創設されました。ECPIが用いるサステナビリティの格付け手法には以下のようなものがあります。

  • コーポレートESG手法:100超のESG基準を8つのカテゴリーにグループ化 : 環境戦略、環境マネジメント、製品(業界別)、製造プロセス(業界別)、地域との関係、従業員および人材、市場、コーポレートガバナンスおよび株主
  • ガバメントESG手法 : 環境・社会・ガバナンスセクションにおける100超のESG指標を使用。それぞれのセクションにおいて、実施と規制という2つのカテゴリーが考慮される。

ECPIの手法は、学術および科学の世界との厳密な連携から生まれたものであり、また、国連グローバル・コンパクト(www.unglobalcompact.org)グローバル・リポーティング・イニシアチブ(www.globalreporting.org)国連PRI(www.unpri.org)等の責任投資のための国際機関に発想を得たものです。

ECPIは、投資銀行やアセットマネージャーに対して、ESG格付およびさまざまな指数を提供しています。応用としては、アクティブ運用、投資信託、ETF、仕組債などがあります。現在、ECPIの格付やインデックスを用いて運用されている資産は約1.2兆円程度です。


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